エネルギーの分散と貯蔵は、家庭の震災リスクを低減してくれる。
北海道大地震の直後に発生したブラックアウトで、多くの家庭がテレビという大切な情報源を失いました。
普段はあまり気にもしていませんでしたが、公共放送から流れる震災情報が途絶すると困りますよね。
すっかり普及したワンセグ放送が見られるカーナビシステム。皆さんとても重宝したようです。
さらに停電が続くと携帯端末のバッテリーもどんどん減って、大切な情報源が使えなくなります。
今回の停電でも充電ができる公共施設には、長蛇の列ができたそうです。
基地局のバッテリーが、24時間しか持たないことも初めて知りました。電波難民状態です。
我が家の自家用車には幸いにもUSBプラグがあり、これも大変助かりました。
電力を貯蔵するアイデアの一つとして、EVやPHVの普及も一定の合理性を持っているようです。
しかしドイツなどに比較すると、あまりにも脆弱な送電システムしか持たない北海道でEVを普及させることの意味は?
軽自動車を含む自家用車の登録台数が280万台を超過する、車社会の北海道。
充電のための消費電力は およそ10kW/台ですから、同時充電を可能にするためには?
冬の最大電力需要の4倍近い2,800万kWの電力能力を追加し、配電しなくてはいけないのですから。
家庭のエネルギーの防災対策で大切なことは、エネルギー源を分散させて備蓄することがあげられます。
我が家では調理用にLPガスを利用し暖房用の灯油備蓄もありますので、あとは電力なしでも暖房できるストーブがあれば。
「選択と集中」によってシステム効率は高まるのですが、非常時に全てがダウンすると手の施しようがありません。
災害リスクの回避のために、家庭では石油、ガスそして電力をバランスよく利用することも必要ではないでしょうか。
北海道の全ての住戸に1kWのPVと蓄電池を配布すべき、との提言をされる方がいるようです。
電力インフラの議論に一石を投じる見識ですが、そもそもPVを設置できるほど耐震性能が高くない住宅も多いのが現実です。
落雪のない陸屋根が普及した北海道では、雨漏りさせずに設置するのも一苦労。
またメガソーラーが復旧したのも、停電が解決してから一週間が経過してからでした。
太陽光発電の普及が、災害耐力の増強に直結するというのはいささか議論が短絡しているような気がします。
全体の合意形成が必要な時間のかかる対策と、個人が自助努力でできる防災は区別しながら議論すべきです。
冬本番を前に今自分でできる防災は何か? 真剣に考える良い機会です。
一人一人の意識が、命を繋いでいくことにつながるのですから。
☆室内気候研究所
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- 2018.10.03 Wednesday
- 研究開発の今
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