Lesson 21 空気の質に無頓着すぎませんか?

人間は閉鎖系ですか?それとも開放系ですか?

 

人間は外界との間で物質とエネルギーを交換せずには生きてはいけないのですから、開放的な系であると考えることができそうです。物質交換の中で最も重要なもの、それは「食物・水・空気」であり、いずれが欠けていても永続的に存在することはできません。もちろん、取り込む物質の質が健康に影響を与えることはいうまでもありません。

 

 

物質交換量で最も多いのは空気です!

 

しかし意外と意識されていない必須物質、それは空気です。1日の摂取量は約20 [kg]と圧倒的に多く、人間はご飯約100杯分もの空気を毎日取り込んで暮らしています。食料や水に比較すると目に見えないというハンディキャップがあるせいでしょうか、新鮮で澄んだ空気の大切さは意識下に沈んだままになっているようです。でも、空気質が疾病を引き起こしてからでは手遅れです。

 

空気中のVOCや生活臭、ペット臭を取り除いてくれる建材もある!

 

下図は空気清浄機能のある建材のガス吸着性能の測定結果です。オレンジ色の線が空気清浄建材の性能曲線で、基準値0.08[ppm]を大幅に超過する濃度のホルムアルデヒドが約2時間で不検出になるほど低下しているのがわかります。機械任せ、薬品任せの空気清浄には自ずと限界があります。汚染物質の吸着、分解作用のある建材を積極的に採用してみるのも有効な手段です。

 

 

 

■記事原稿の全文と詳細は、公式HPをご覧ください。

健康のための室内気候講座: http://iwall.jp/kenkou.html

 

☆室内気候研究所

公式HP http://iwall.jp/

 

 


千葉市の「住活セミナー」で講演してきました。

 千葉good工務店会が主催する住活セミナーで「失敗しない「健康住宅づくり」のために」というテーマの講演をしてきました。

 

 

大網白里市季美の森にあるS邸を会場としてお借りし、これから住宅づくりを考えているユーザーの皆さんが熱心に聴講してくれました。講演は午前と午後の2部構成で、各60分間のミニセミナーです。

 

 

 

千葉good工務店会に参加している企業は持ち回りで家づくりセミナーを開催しており、家づくりの第一歩は、実際に建てられた住宅を見てみることだ、と啓蒙活動を展開しています。

 

 

セミナーは単なる勉強の場としてだけでなく、参加している工務店のこだわりや思い入れのたっぷり詰まった住宅を見学することで、家づくりのパートナーである工務店の特徴を理解するための絶好の機会です。

ネットや雑誌などの情報では知ることのできない質感やVisual Comfort、風通しや陰影、涼しさや温かさなど温熱環境も体感することができます。

 

 

 

一生に一度の大事業である「住宅づくり」。住宅の環境が疾病の原因になる場合も散見される現代の住宅建築。家族が快適で健康的に過ごし、豊かで実りある人生を送るための器(住宅)、設備や機械に頼らないパッシブな暮らしが実現してくれる健康住宅を目指して、一人一人のユーザーさんと専門職の工務店の皆さんが、個性あふれる住宅をつくってくれることを確信して帰路につきました。

 

 

室内気候研究所 主席研究員

工学博士 石戸谷 裕二

■公式HP: http://iwall.jp


Lesson 20 「気密」が必要な本当の理由は?

北海道に開放型住居を立てて暮らすと、どうなるのでしょう?

 

明治期の北海道には開拓使が置かれ、屯田兵制度が制定されました。北海道の開拓と警備を担う人々が屯田兵に志願し移住することになります。彼らの住居は復元され現在も後世にその姿を伝えていますが、下見板張りの外壁は冬でも外気の侵入を無防備に促し、囲炉裏の火を生活の中心に据えつつ凍えるような環境の中で春の到来を待ちわびていた姿は容易に想像することがでそうです。

 

一方、先住民族であるアイヌの人々の住宅は「チセ」と呼ばれますが、萱や笹で拭かれた屋根、壁の空気密閉性能は板張りよりもかなり高く、必要換気量は室内で燃焼させる薪の量に多く依存しています。屋根に積もった雪が解けない程度に薪を燃やし土間を温めることで、厳寒期でも生存できる環境を創生することが可能でした。古より寒冷地に住む賢人たちの暮らしの知恵です。

 

 

気密化の技術が、壁体内結露による被害を防止した。

 

住宅の気密化が叫ばれるようになったのは比較的新しく、断熱強化を推進していく過程で技術開発が行われました。不幸にも、断熱強化の過程で断熱層内の結露問題が顕在化し、その対処法として防湿層の施工が推奨されることになり、結果として気密化が推進されました。

 

 

「気密」でなければ「計画換気」は実現できない。

 

さらに重要なことは気密化で換気を計画的に実施することが可能になるという視点です。どこから、どの程度の新鮮空気を室内に導入し、汚染された空気をどこから排出するのか。計画換気は室内の空気質を維持し健康で衛生的な環境をつくるばかりでなく、温熱的な快適性を高めることに大きく貢献しています。計画換気は隙間だらけの住宅では実現することができません。法的に義務付けられている換気の技術的基礎は、気密技術に依拠していると言えるのです。

 

 

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Lesson 19 「断熱」が必要な本当の理由は?

「断熱」の主目的は、エネルギー消費量の抑制なのでしょうか?

 

壁を還流して流れる熱量の計算は電卓さえあれば比較的簡単にできますから、断熱材を厚くする費用と光熱費の低減量を比較して、対費用効果を数値化することもできます。この計算が「断熱」の普及に大きく貢献してきたのですが、「断熱」の本来の意味は光熱費を少なくすることなのでしょうか?

 

無機系断熱材で最高の断熱性能を誇る「シリカエアロゲル」の外貼り施工風景。

 

不快で、不健康な環境は、表面温度の低さが原因になっている。

 

それは断熱性能が不足しているために、室内の表面温度が低いまま放置されている住宅が、数え切れないほど存在していることに原因があります。室内の表面温度は寒暖計では直接的に計測することはできません。これを簡単に図表から読み取ることができるよう、下図を用意しました。

図1 断熱性能が低いと表面温度も低く、寒さや結露の原因になる。

 

温熱環境の質は「断熱」が鍵を握っている。

 

「断熱」の本来の目的は、室内と外界を熱的に分離して「暑さ」「寒さ」を室内から除去することにあります。「断熱」で生活環境の「質」を向上させることで、健康で快適な暮らしを創生することができるのです。

 

ホテルの窓で結露した水は、結露受けに溜まったままだった。

 

 

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夏至の「北洲PPH」を体験してきました。

竣工からほぼ1ヶ月半が経過した「北洲プレミアム・パッシブハウス(PPH)」。

一年で最も昼が長くなる夏至を前に、PPHの室内環境を体験することができました。

 

 

仙台市はまだ梅雨入りしていませんでしたが、花壇では植栽が元気に根付き美しい花で出向かえてくれました。

 

地域の景観制限規約を遵守しつつ、南面外部にプライベート空間を見事にデザインした建築化外構も、すっかり周囲に溶け込んでいます。

 

太陽高度が最も高い夏至の季節ですから、大屋根の深い庇は、静かに流れるウッドデッキでの豊かな時間を予感させてくれます。

 

これから迎える盛夏の時期に欠かす事のできない日射熱取得の調整。

外壁にボックスを埋め込み違和感なく施工した電動ブラインドも、その役割を十分に果たしてくれることでしょう。

 

夏の通風と遮熱を担ってくれるのが新開発の「遮熱網戸」。

7月には中間期の快適な過ごし方を実現するために通風による夜間外気の導入や、ブラインドのスラット角度の調整を含め、色々と挑戦していく予定です。実測のデータが整理でき次第、みなさんにもご報告したいと思います。

 

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Lesson 18 窓の機能を再考してみよう。

建築は「安心シェルター」、窓は自然を楽しむための「刺激フィルター」です。

 

室内に自然な光の変動を取り込み、朝、夕など相対的な時刻の差異を知らせてくれるのは窓の大切な機能です。発電所の管制室や地下鉄の運転席を想像してみてください。窓のない空間を無窓空間と言いますが、完全に自然と隔絶された環境で終日働いてくれる皆さんのご苦労には、頭が下がる思いです。

 

 

人工照明が発達して執務空間から窓までの距離がとても深くなった現代のオフィス。昼間から照明の下で仕事をしている人たちは、昼夜の別なく長時間労働を強いられることも多く、過度なストレスにさらされているのではないでしょうか?明るいうちは精一杯働き、夕方に薄暗くなってきたら休む。窓の機能の見直しは、現代人の働き方を見直すきっかけにもなろうかとも思います。

 

 

「窓」のデザインは建築のファサードを印象付ける大切な要素です。室内条件からの要求性能と外部のデザインに整合性をもたせた建築は、誰がみても美しいものです。つまり、窓設計の環境工学的なアプローチは単に熱や光、空気といった物理的な要求を満たすために設計されると言うより、環境設計が建築デザインそのものの基礎となっていると言っても過言ではありません。窓は室内の要求を主張して、形状として外部へと表出しているわけです。

 

 

室内に自然の穏やかな変化をデザインする。

建築の専門家は、窓の設計に託された大切な課題を忘れてはいけません。

 

 

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Lesson 17 日射を友として生きる知恵。

生きとし生けるものの活動の原点。全ての生命の母、太陽。

 

窓の設計の最適化は、建築がこの世に生まれてから絶えず人間に向けられてきた古くて新しい問いです。また、太陽光の強度は季節や時間によっても大きく変化するため、その利用には様々な工夫が必要なことは言うまでもありません。

 

 

皆さんも夏の暑さを凌ぐため葦簀(よしず)やすだれを利用したことがあるのではないでしょうか?開口部の外側に日射を遮蔽するための部材を設置すると、真夏でも涼しく過ごすことができます。古人の知恵です。

でも、日射熱を遮蔽しようとすると、室内がどうしても暗くなる。これを解決してくれるのが可視光拡散型の日射遮蔽材です(写真2)。和風の障子を思わせるような柔らかな光が室内へを差し込み、眩しさを感じずに夏の光を楽しむことできるわけです。

 

 

日々進化している建築技術を利用して、日射と上手にお付き合いしながら健康で快適な室内を作っていきたいものです。

 

 

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Lesson 16 消えた大屋根と庇。

春には軒先の縁側で、ぽかぽかと日差しを楽しむ。

夏は庇の下や、天井の高い土間玄関で、ひんやりと涼を得る。

 

伝統的な日本家屋が持つ四季折々の原風景も、進行する住宅地の都市化と敷地面積の狭小化によって、どこか遠い昔のおとぎ話へと変化してしまいました。

 

 

先日シンガポールで蒸暑環境下における室内環境創生について議論する機会がありました。四季のない蒸暑地域では暑さ対策が最優先され、とりわけガラスの遮熱性能が重要視されることは議論の余地のないところです。

でも、快晴の日に窓辺に佇んでも全く暖かさを感じない縁側空間。これが本当に日本の住宅に求められる体験なのか、いささか疑問に感じてしまいます。

 

 

太陽の恵みと強大な力を常に感じつつ、日射と仲良く暮らしていく住まい。四季の変化に対応した日射の調整は、窓の遮熱性能だけでは実現不可能です。深い庇、葦簀やすだれ、障子や鎧戸が果たしてきた役割を、現代の建築技術はどのような機構に置き換えていけば良いのでしょうか?

 

 

常に変化する住まい手の要求。時事刻々と変化する自然環境。これらをつなぐのは、変化することができる建築以外にないような気がします。

一つの技術で全てを解決するのではなく、使い方などソフトを含めた技術の総合化がこれからの住宅建築を支えていく鍵になりそうです。 

 

 

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Lesson 15 断熱材はどこまで厚くすれば良いのか?

GWをお楽しみのことでしょうが、今日はいささか長文です。

フル原稿は、いつものように公式HPにアップされています。

 

壁からの熱損失を少なくすると省エネルギーになるので、断熱材は可能な限り厚くするべきだ。だから断熱材が厚い方が「良い住宅」 だ。

  

一見正しく見える議論ですが、不毛とも言えるような「UA値競争」が際限なく繰り返されている現状は、健康住宅にとって本当に望ましい姿なのでしょうか。

 

ほんの50年ほど前の日本では、健康的な室内環境とは程遠い住環境が当たり前でした。そして、環境弱者である子供たちや高齢者がいつもその犠牲者です。

 

 

トップランナーと呼ばれる建築業者が作る住宅では、壁の厚さが600mm以上ということも今では珍しくありません。しかし、建築の構法や材料との整合性を取ることを前提として「美しく建てる」ことも住宅設計ではとても大切です。

 

「断熱」だけで全てが解決されると考えるのは、いささか単純すぎて危険な方向へと住宅を導くことにならないか、危惧されるところです。

 

「断熱」「蓄熱」「遮熱」技術の融合と非定常状態での総合的理解は、健康的で経済的に家族の安全・安心を守る新たな指標となろうとしているのです。

 

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PPH完成見学会に参加しました。

仙台市に本拠地を置く(株)北洲のハウジング事業部が開発した「プレミアム・パッシブハウス(PPH)」の記者発表会と完成見学会に参加してきました。

 

「断熱」「蓄熱」「遮熱」をテーマに、世界的な最新技術を駆使したパッシブハウス。

これまでのパッシブハウスの概念を一新するようなデザインコンセプトのもと、住み手の健康・快適を第一に、環境負荷とエネルギー消費にも配慮した近未来の住まいを提示しようとする試みが一般に公開されることになりました。

 

 

当日はこのプロジェクトに参加した世界各国の専門家も集結して、最先端技術をわかりやすく解説してくれました。

 

 

住宅の熱性能は日本の省エネルギー基準はもちろん、ドイツの「パッシブハウス」やスイスの「ミネルギー住宅」の基準もクリアして、世界最高水準を達成しています。でも注目はそのデザインです。

 

 

南面の大開口部で日射エネルギーを取り込むというパッシブハウスの趣旨に加え、通風や周囲環境との連続性にも配慮したデザインは伝統的な日本の民家の知恵を取り込んで、住みごごちの良い長く愛される自邸へと昇華しています。居住後に予定されている2年間の実測調査の結果も大変楽しみなところです。

 

 

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