パッシブハウス研究所を訪問してきました。

JUGEMテーマ:住宅

ダルムシュッタットにある「パッシブハウス研究所」は、1996年にヴォルフガング・ファイスト博士が設立した研究所です。
「パッシブハウス」構法の研究開発や普及活動の他に、法的な基準を満たしていることを審査する機関にもなっています。

この日は、宿泊先のマンハイムからICEを利用してダルムシュタット中央駅まで移動です。
訪問の目的はパッシブハウスの現状把握と情報収集。また、視察ツアーの受け入れ態勢の確認ですが、実はアポなしの旅です。



駅から研究所まではバスやトラムで移動可能ですが、今回は徒歩で移動できるか実際に歩いて確認です。
地図を片手に15分くらい歩いて、なんとか研究所の看板を発見することができました。



アポなし旅ですので、とりあえず建物の内部に。壁にはパッシブハウスの認証部品のプレートが掲げられています。



廊下で偶然出会った男性の職員の方から、来訪の趣旨を英語で尋ねられます。
ファイスト博士は大学の講義で不在ですが、何かできることはありませんか?
アポなしチームの来訪にも建築家のTeumerさんが親切に対応していただき、有意義な情報交換をすることができました。
次回来訪時には、パッシブハウスの歴史やコンセプトの聴講と、現場の見学をさせて頂く予定です。



徒歩で10分ほどの広場で、パッシブハウスの検証デモをしているとのことでしたので、早速見学に行くことにしました。
断熱性の異なる2つのブースの中に300kgの氷を入れ、徐々に重量が減っていく様子を展示していました。
パッシブハウスの断熱性能の見える化ですが、一般市民の方も興味深げに見学していました。



パッシブハウス仕様のボックスでは、3日経過後でも氷の残量が250kg以上。
一般の市民の方にも、断熱性能の大切さをわかりやすく提示することができていました。



パッシブハウスの作品集も、もう2冊目になったようです。
潜熱蓄熱工法の現場情報も、綺麗な冊子でお届けできるように努力しなくちゃいけませんね。


 

☆室内気候研究所
HP http://iwall.jp/


Comfortboard(KNAUF社)のサンプルをいただきました。

BASFジャパン社さんのご協力を得て、KNAUF社(ドイツ)の「Comfortboard」のサンプルを入手しました。
立派なケースに入ったサンプルは、さすが一流企業のプレゼン能力の高さを感じさせてくれます。



続いて、さっそく開封の儀。
商品サンプル、パンフレットと一緒に、相変化をすると色が変わる蓄熱シートも同梱されています。



厚さ12.5[mm]の石膏ボードには、2[kg/m2]のPCM(MICRONAL : BASF社)が調合されているそうです。
調合量から考えると、相当な蓄熱効果が期待できる商品のようです。



サンプルに書かれていたスペックは・・・。
PCMの融点は約23[℃]、蓄熱量は[200KJ/m2]とのことです。
事務所や学校、住宅の天井や壁などに施工することで、冷房負荷の抑制に貢献できる商品だそうです。



Comfortboardの詳しい情報は、KNAUF社さんのHPに掲載されています。
http://www.knauf.co.uk/product-range-overview/plasterboard/knauf-comfortboard

室内気候研究所でも、性能評価や省エネルギー効果などを検討して情報を発信していく予定です。



また、BASF社さんのHPにはPCMの省エネ効果が簡単に計算できる、スマホ用のアプリが用意されています。
ご興味のある方は、以下にアクセスしてダウンロードしてください。

http://www.micronal.de/portal/basf/ien/dt.jsp?setCursor=1_290798

 

 

☆室内気候研究所

HP http://iwall.jp/






「卒業設計日本一決定戦」を観てきました。

もうすっかり古くなってしまいましたが、3月の記事です。
仙台で打ち合わせ終了後、「せんだいメディアテーク」を見学しがてら、散歩に出かけました。
あの名建築の現在を、ちょっと覗こうということです。3月ですからまだ寒そうです。




入り口に差し掛かったところで、このポスターが!!
「せんだいデザインリーグ2016」のイベントとして、卒計展が開催されていたんですね。
とりあえず今年の「日本一」を確認するため、急いで会場へと向かいます。



設備がむき出しのエントランス。空調用のダクトや吹き出し口。デザインなんでしょうかね。
エレベーターもシースルーで、高所恐怖症の小生にはいかにも不向きなデザインです。



寒冷地に建設するガラス建築の最大の弱点は、ペリメータゾーンの環境調整!
コールドドラフトを防止するためでしょうか、設備には大変苦労している様子です。
冬は寒くて、夏場は相当暑いでしょうね、このペリメータゾーン。
当日はコートでも寒い日だったのですがあ、室内は半袖でも暑いくらいの室温に、来館者が大勢。
みなさん、黙々と週刊誌や新聞を読んでいらっしゃいます。



さて、今年の日本一に選ばれたのは小黒 日香理さん(日本女子大学)の『初音こども園』。
与えられた敷地を細かく細分化して機能を付与していく、一般的な設計手法では得られない作品。
まぁ、ゆるキャラばやりの昨今ですので、西澤センセもこれを選んだんでしょうかね?



会場には100近くの模型が所狭しと展示されていました。
搬入搬出がしやすい、壊れにくい梱包を考えた人にも、優秀賞が授与されるようです。



さて、来年はどの大学のどの作品が選ばれるのでしょうか?楽しみです。

 

☆室内気候研究所

HP http://iwall.jp/



Eggs'15で研究成果3編を発表しました。

JUGEMテーマ:住宅

3月10日に、日本建築学会北海道支部が開催する環境工学系・卒業論文発表会に参加しました。
学会発表のデビュー戦ですから、学生の皆さんも少し緊張した表情でした。


プログラム

今回発表したのは、室内気候研究所と北海道職能大の共同研究の成果論文。3編をエントリーしました。

1編目は「粒状PCMを適用した蓄熱ダクトレス空調システムの負荷削減効果に関する研究 

その2 天井吹出しダクトレス空調への適用性と省エネルギー効果」です。

PCMの蓄熱性能を活かして、24時間空調が必要なコンビニエンスストア、病院、保健施設などの省エネルギーと環境改善効果を検証した研究です。
冷房負荷の集中する時間帯に、冷房装置を止めてても快適環境が実現できることがわかりました。

 

天井空調

2編目は、「ノルボルナジエン(NBD)誘導体の光異性化反応を用いた蓄エネルギーシステムに関する研究 

その1 光エネルギーの変換・蓄熱機能に関する検討」です。

太陽エネルギーを化学構造の変化として蓄え、触媒反応を利用して使いたい時にエネルギーを取り出すことのできるシステムです。
これまで、化学の分野でその存在は知られていたものの、建築分野に応用しようとする意欲的な研究です。
「冷めないお湯」「減らない石油」のように利用できる日も近いかもしれません。


NBD


3題目は、「ポリマーデシカント材を適用した調湿建材に関する研究 

その3 吸放湿履歴が調湿性能に及ぼす影響」。

今年で3年目を迎えた調湿建材の研究。化学吸着という機構を利用した新しい高性能調湿建材の評価研究です。
大量の水分を壁に蓄えることができる性能を持っていて、室内に放出される20リットル/日もの水蒸気を蓄積・放出。
安定した室内湿度環境によって、アレルギー、アトピー性皮膚炎、呼吸器疾患などの発生を抑制しようとする研究です。

これらの研究成果は、6月25日に北海道職業能力開発大学校で開催される日本建築学会北海道支部の研究報告会でも発表しますので、ぜひ聴講いただければと思います。

デシカント

 

☆室内気候研究所

HP http://iwall.jp/

 


シリカエアロゲルの熱伝導率はGWの半分以下!

BASFジャパンさんのご協力を得て、シリカエアロゲルをブランケット化した製品の熱伝導率を測定しました。
商品名はSLENTEX。昨年、マンハイムの本社を訪問した際にご紹介頂いた画期的な新断熱材です。

シリカエアロゲルは、地球上で最も密度の低い物質の一つ。不燃性、耐熱性を持つ無機断熱材です。

測定結果は、熱伝導率λが 17.8 [mW/m2/K]!!

一般的に市販されているグラスウールやロックウールの2倍の性能が確認できました。
付加断熱を含めて200[mm]以上の断熱厚さが課題となっている現在、半分の厚さで同程度の断熱性能を発揮するSLENTEXの活用方法に注目が集まりそうです。

slanted

ブランケット状のSLENTEXの表面熱流を測定するために、両表面にSUS304板を設置。
空気の流入出を抑制するために、四周にアルミテープを接着します。

sus板

熱伝導率測定に向けて、300×300×30[mm]の試験体が完成します。

試験体

試験体の両表面には、同寸法の熱流計を貼り付け。
人工気象室で両表面に温度差をつけ、定常状態での表面熱流と温度を測定します。

熱流計

人工気象室の熱伝導率測定用小窓に合うように、スペーサーとして断熱材を取り付けました。

枠取り付け

人工気象室の隔壁に試験体をセット。室温を20℃一定に維持しながら、屋外区の温度を徐々に下げていきます。
今回は試験体表面の温度差が40℃になるまで、5℃刻みで温度を変化させて測定を繰り返しました。

セット1

断熱材の薄肉化に向けた新たな方法論が導出できるよう、研究を継続していく予定です。

実験室
 

☆室内気候研究所

HP http://iwall.jp/



K-house(千歳市)の環境測定を開始しました。

JUGEMテーマ:住宅

既にお伝えした千歳市にあるK-houseの室内環境とエネルギー消費量の測定を開始しました。
K-houseは3月まではショールームとして公開され、以降は入居後の実居住データを測定する予定です。
1月下旬ですが、札幌に比較すると千歳市の積雪量は非常に少ないことに驚きます。

外観

1FのLDKには、採光、換気、蓄熱のパッシブ機能を持った吹き抜け部分があります。
冬季でも日射量が多い千歳の気候を生かした建築デザインが、K−houseの特徴です。

吹き抜け

吹き抜けの上部には、この空間に接続するた内窓が3方向に設けられています。
この窓を開けていれば、階下の雰囲気を2Fでも感じることができるように工夫。
吹き抜け部に施工したe-プラスターで、環境変動を抑制しながら夜間の日射利用が可能になります。

吹き抜け上部

気温、湿度、CO2濃度、騒音などのデータを5分間隔で測定してくれるNetatmo。
データはクラウド上にアップロードされており、.csvや.xlsxフォーマットでいつでもダウンロード可能です。

温度計

K-houseでは、施主様の協力を頂き温水暖房システムの配管途中に熱量計を設置。
暖房で消費したエネルギーを1分間隔で測定して、データを蓄積しています。
今後は、室内外温度の測定値から予測される総熱損失量と、消費エネルギー量の測定値から、日射の有効利用率を評価していく予定です。

熱量計
 

☆室内気候研究所

HP http://iwall.jp/

 


3題の研究成果を展示発表しました。

JUGEMテーマ:住宅

2月19日から北海道職業能力開発大学校で開催された、第13回北海道ポリテックビジョンに、今年度の共同研究成果を展示発表しました。

1題目は「NBD誘導体の光異性化反応を用いた蓄エネルギーシステムに関する研究」です。
光子エネルギーを分子内の歪みエネルギーとして蓄積し、触媒を用いて逆異性化することで、暖房や給湯に利用します。

従来のシステムでは、触媒の担持方法に課題がありましたが、銀電極で定電位印加することで、この課題を解決しました。

異性化と逆異性化のメカニズムを解明するために、数百回にも及ぶ実験を実施。
担当した学生さんの不断の努力で、ようやく新手法を確立することができました。

NBDパネル

教員発表の部では、三浦准教授による講演会も開催。
馴染みの少ない化学反応の世界を、聴衆にもわかりやすく解説頂き、講演後に活発な質疑も行われました。

三浦先生

2題目は「ポリマーデシカント材を適用した調湿建材に関する研究」です。

肺炎やアトピー性皮膚炎などの原因とも言われている冬の低湿度。
これを解決するために、吸放湿性能に優れたポリマーデシカント材を左官材料に調合。
住宅内で発生する20リットルもの水蒸気を壁に蓄積して、快適湿度環境を維持するシステムです。

会場では、開発した調湿建材と、比較のためにビニールクロスを施工した二つのユニットを展示。
内部にお湯を入れた容器を設置して、湿度変化の様子を見える化しました。
調湿建材の有用性がわかりやすく展示できたと思います。

デシカント


3題目は「粒状PCMを適用した蓄熱ダクトレス空調システムの負荷削減効果に関する研究」です。
3.11東日本大震災から間もなく5年。原子力発電の是非をめぐる議論は、今も国民的な課題です。

夏の冷房時期に生じる電力不足。これを解決するために、天井内部に蓄冷機能を持つPCMを設置。
電力需要が増加する午後の時間帯にこれを活用することで、省エネルギーに貢献しようというシステムです。

本年度は、大学内の新たな実験棟を設置。想定どうりの効果が期待できるのか実証実験を行いました。
コンビニエンスストアなど、24時間空調が必要な施設での利用に向け、研究開発を継続していく予定です。

ダクトレス
 

☆室内気候研究所

HP http://iwall.jp/


北海道職能大で研究発表がありました。

共同研究先である北海道職業能力開発大学校で、卒業研究の発表会がありました。
今年度の共同研究テーマは3題。3人の学生さんが緊張の中発表をしてくれました。

はじめは、粒状のPCMを天井ダクトレス空調に適用した時の、省エネルギー効果。
空調停止時でも、吹き出し口温度を一定に保ち、ピークカットとピークシフトが可能になりました。
コンビニエンスストアなど、24時間空調の建築物への応用が期待される新規技術です。

全体

2題目はポリマーデシカント材を使った調湿建材の性能に関する研究です。
珪藻土などの無機材料よりも、吸放湿性能に優れた材料を左官材に調合。
繰り返し使用でも性能が変化しないことを、工学的に確認することができました。

デシカント

3題目はノルボルナジエン誘導体を適用した光エネルギーの貯蔵システムに関する研究です。
化学の領域ではすでに確認されている現象ですが、建築分野への応用研究は世界初となる研究。
光子エネルギーを暖房の循環液に直接貯蔵できる画期的なシステムで、繰り返し利用も可能。

太陽光利用の新たな技術で、冷めないお湯、使っても減らない灯油の開発、と言えるかもしれません。

NBD

今回の研究を実施したのは、専門課程2年生のみなさん。
未来の開発技術者を目指して、これからも研究開発に従事していただきたいと思います。

展示
 

☆室内気候研究所

HP http://iwall.jp/


エコナウォール実験棟(仙台)を暖房モードに変更しました。

仙台市に建設した「エコナウォール実証実験棟」を、自然室温モードから暖房モードへと切り替えました。
これまでは、潜熱蓄熱建材「エコナウォール」に期待される日中の過昇温や、朝の冷え込み防止効果を中心に自然室温測定を実施。
暖房モードへの切り替え以降は、暖房に必要なエネルギー量の削減効果について実証実験を行います。

外観

今回使用する暖房機は、家庭用電源で使用できる100V-300Wの小型ファン付き暖房装置です。
電熱式で熱容量が小さく、しかも小型ファン内蔵ですから、室内に少量の熱を素早く供給することができます。
超高断熱仕様の実験棟を暖房するには、暖房能力であると考えられます。

暖房機

暖房装置をコントロールするのが、一般的には熱帯魚の水槽温度管理をする定温度制御装置。
配線も簡単で、精度よく温度管理できることが、事前検討で確認されています。

サーモ

室温センサーは、部屋の中央部にある測定用ポールに固定。
1200mmの高さの空気温を測定して、設定室温以下になると暖房装置が稼働するシステムです。

センサー

また、暖房機の稼働状況と消費電力量の測定には、一般家庭でも普及してきた消費電力計を採用。
1ヶ月間のコンセント電力消費量を5分毎に記録することができる優れものです。
毎日「エコナウォール」を施工した部屋の省エネルギー効果がが実証されていますが、
春までには外気温や日射量と、省エネルギー量の関係が定量的に把握できると期待されています。

ロガー
 

☆室内気候研究所

HP http://iwall.jp/


K-house(千歳市)に蓄熱建材を施工しました。

JUGEMテーマ:住宅

 

 

2015年12月。年の瀬も迫った快晴の日。千歳市にあるK-houseに新規開発のエコナウォールを施工しました。
千歳市は冬季間の快晴率が高く、放射冷却で冷え込む日が続く地域です。
一方で、日射熱取得量も多いことから、冬季間のパッシブ蓄熱を評価する地域としては格好の都市です。

K外観

K-houseはパッシブ住宅に積極的に取り組む建設会社の社長さんの住宅で、ZEH(ゼロエネルギーハウス)に認定。
今回の左官工事は、エコナウォールの開発当初から協働で取り組んでいただいている村井左官工業さんが担当。
シーラやパテ、左官テープによる下地処理も入念にしてから、新エコナウォールの左官施工をしていただきました。

練り混ぜ

リビング上部は採光とパッシブ換気を担う吹き抜け空間の大壁面。
左官職人さんチーム4名で、大壁面を一気に塗りあげていきます。

左官1

今回採用した新エコナウォールには、調湿効果も期待できる珪藻土を調合。
コテを使った美しいテクスチャーも、職人さんの腕の見せ所になります。

テクスチャー

2016年1月からは、実暖房量と温湿度など室内環境も経時的に通年で測定。
潜熱蓄熱材のパッシブ効果を定量的に把握して行く予定にしています。

 

完成

 

☆室内気候研究所

HP http://iwall.jp/


続きを読む >>


calendar

S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< August 2020 >>

e-プラスター

blog_image blog_image blog_image

selected entries

categories

archives

links

profile

書いた記事数:368 最後に更新した日:2020/08/06

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM